高コレステロール血症の切り札となるか・PCSK9阻害薬
前回の更新で取り上げた「家族性高コレステロール血症」の適応を持った新薬についてご紹介させていただきたいと思います。
「PCSK9阻害薬」という種類の薬で、現時点では「レパーサ」が発売になっており、「プラルエント」がまもなく発売予定という状況です。
「レパーサ」の発売も今年の4月ですので、使用症例はまだまだ少ない薬です。
適応ですが、次のような記載になっております。
「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症
ただし、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分な例に限る」
つまり、「家族性高コレステロール血症」だけでなく、通常の「高コレステロール血症」への治療薬としても使えるということになります。
ただし、現在「高コレステロール血症」の標準治療薬である「HMG-CoA還元酵素阻害剤(通称スタチンと言います)」で効果不十分な例に限るとありますので、
誰でもかんでも使うわけではなく、スタチンではLDL-コレステロールが下がりきらない方に併用で使うことになりそうです。
では、PCSK9とは何か?
PCSK9は肝臓に存在する酵素の一部で、肝臓にあるLDL-コレステロール受容体を減少させてしまうことで、本来は肝臓で利用されるLDL-コレステロールの取り込みをブロックし、結果として血液中のLDL-コレステロールの値を上げてしまうと考えられています。
家族性高コレステロール血症の方は、このPCSK9が多いので、いくらスタチンを使ってもLDL-コレステロールが下がりきらない患者さんもいらっしゃるということで、期待を集めています。
この薬は飲み薬ではなく、注射薬となります。
スタチンは飲み薬ですので、抵抗を覚えそうですが、
投与方法が独特で、2週間に1回注射すれば効果は持続するようです。
また、薬価は高く、患者さん負担(3割負担で)は、1か月2万~2万5千円するとのこと。
そして、肝心の効果ですが、非常に高いと言われています。
スタチンへの併用でさらに、LDL‐コレステロールの値を平均約70%下げることができるとのこと。
(300㎎/dlだった人が90㎎/dlまで下がります。)
薬剤への評価はこれからですが、医師の間でも注目を集めている薬なのです。