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抗がん剤1剤で年間2兆円??

医療・疾患

今回は、抗がん剤の新薬を取り上げます。

最近、一般紙やテレビでも広く取り上げられていますので、聞いたことがある方もけっこういらっしゃるかと思います。

 

その薬は「オプジーボ」。

小野薬品とブリストルマイヤーズ社が共同で販売しています。

免疫チェックポイント阻害薬とか抗PD-1抗体と呼ばれる種類の薬です。

現在、発売になっているのはオプジーボだけですが、

今後は3~4社参入予定で、競争が激化していくでしょう。

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この薬が注目を集めているのは、今までの抗がん剤と作用機序が違うため、副作用が少なくなり、高い効果も期待できるからです。

今までの抗がん剤は、がん細胞を直接攻撃する薬剤のため、正常な細胞まで攻撃してしまうと、副作用が起こってしまいます。

 

一方のオプジーボの作用機序を以下で説明させていただきます。

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まずは上の図を見ていただきたいと思います。

免疫細胞にはPD-1という抗体が存在します。

そして、がん細胞もPD-L1という抗体を持ち、このPD-1とPD-L1が結合することで、

免疫細胞は本来の働き(がん細胞を攻撃する)ができなくなります。

 

そこで、オプシーボは免疫細胞が持つPD-1抗体にくっつくことで、がん細胞のPD-L1を無意味にさせ、免疫細胞が本来の働きをすることを手助けする薬となります。

今までの抗がん剤と違い、オプシーボは元々持っている免疫細胞の働きを手助けするだけなので、正常な細胞を傷つけてしまうような副作用が起こりにくいというわけです。

そして、様々な臓器のがんに効果が期待できると言われています。

 

当然、今後使われる頻度が圧倒的に増えると考えられますが、問題は値段。

薬価が高すぎて、1年間の治療で薬代が1人3500万円かかると言われているのです。

保険適応のため、高額療養費制度が適応され、患者さん負担に上限はもうけられますが、残りは税金や保険料で賄わなくてはいけません。

 

最初は悪性黒色腫(皮膚がん)だけだったのですが、最近肺がんの適応も取得したため、使われる患者さんが増え(対象患者は約5万人)、オプシーボだけで年間2兆円かかると予想されています。

しかも、今後胃がんや大腸がんなどに適応が広がっていけばもっと膨らむかもしれません。

 

薬価は国が決めれるのですから、なんでこんなバカ高い薬価をつけたんだといわれそうですが、国もあまりにも高い薬剤費に危機感を持っておりますので、今後は劇的に薬価が切り下げられるかもしれません。

しかし、それでも製薬会社にとってはかなりの売り上げが期待できますから、今後は一層がん領域には注力していくと思われます。