新薬創出加算
前回の更新に引き続き薬価の話を。
薬価は2年ごとに薬価改定が行われ、基本的にはその度に切り下げられていくのが普通です。
しかし、それでは製薬会社の収益が上がりにくいだろうということで2012年の診療報酬改定で導入されたのが、「新薬創出加算」です。
この新薬創出加算は、各製品ごとに認可されており、対象となった品目は特許期間まで薬価が下がりにくい仕組みとなっています。
2012年〜ですので、比較的最近導入された制度です。
その理由としては、昔と比べて後発品の普及が一気に進み、製薬会社の収益が上がりにくくなっている時代背景が挙げられます。
開発した新薬で確実に稼いでもらって、次の新薬の開発を進めて欲しいという国の意図があるわけです。
詳細を下に示します。
縦軸が薬価、横軸が時間(年数)を表しています。
通常の薬価推移は点線部分のイメージで、年数が経つにつれ徐々に切り下げられていきます。
それに対して、新薬創出加算の対象となっている品目は実線のように、後発品発売までは薬価切り下げが猶予され、後発品発売後の最初の薬価改定で今まで猶予されていた価格が一気に切り下げられるという仕組みです。
つまり、後発品が出てくるまでの期間は薬価が守られるのでその分稼いで下さい、ただし後発品が出たらあきらめてね、というわけです。
新薬創出加算の対象となるにはいくつか要件がありますが、そのうちの一つに市場実勢価(卸から医療機関への納入価のこと)が全品目の平均値よりも高いことという条件が入っています。
つまり卸が安売りをしているような品目は対象から外されます。
薬価を守るために、製薬会社は卸に安売りをしないようにお願いしている(圧力をかけている??)という状況が現場では展開されています。