新しい睡眠薬

 

ドラマなどで睡眠薬を大量に服薬して自殺するなどというシーンはよく見かけるかと思います。

しかし、現在の睡眠薬は安全になっており大量に飲んだからといって死亡することはほぼありません。

 

そして、さらに安全性が高い薬として約3年前にベルソムラという薬が発売されました。

その作用機序からオレキシン受容体拮抗薬と呼ばれます。

今までの睡眠薬は、GABAという脳全体に分布している鎮静に関わる物質を刺激してあげることで眠りを誘導しております。

効果は非常に高いのですが、依存性が強く一度飲み始めたら止めにくいこと、ふらつきや転倒のリスクを高める報告があることなどが問題点でした。

 

今回のベルソムラに関してはそういった懸念がかなり少なくなっている点で画期的です。

ベルソムラはオレキシンという覚醒に関わる物質の働きを阻害することで、眠りをもたらします。

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オレキシンは覚醒中枢のみに存在しており、GABAと違って脳の広い範囲に分布してないので、脳全体を鎮静化させずに眠りに誘導するというメリットがございます。

特に転倒が少ないことは、転倒して寝たきりになる方が多い高齢者にとってはかなり有用な点となります。

ただし、効果に関してはGABA刺激薬の方が強いと言われており、また悪夢を見やすいという副作用報告もあるようです。

 

眠りを睡眠薬に頼っている方も多いかと思います。

不眠症は直ちに命に関わる疾患ではありませんが、ぜひ睡眠薬の中身についても興味を持っていただければ幸いです。