心不全治療薬・βブロッカー
今回は心不全治療薬であるβブロッカーについて取り上げます。
製品名でいうとアーチストやテノーミンが主力で使われております。
βブロッカーは、アドレナリン受容体の一つであるβ受容体に作用します。
アドレナリンやノルアドレナリン等(総称してカテコールアミンと言います)がこのβ受容体にくっつくと、交感神経が亢進してしまいます。
βブロッカーを使うことで、β受容体がブロックされ、交感神経を抑制し、
心拍数・血圧・心筋収縮力が低下します。
心臓への負荷が軽減できるということで、現在では慢性心不全にはまず使われる薬となっています。
また、βブロッカーの有用性の一つにリバースリモデリングが期待できることが挙げられます。
心臓は通常楕円形をしておりますが、心不全が進んでくると円形に変形して、うまく収縮ができない形になってしまいます。
この心臓の変形のことをリモデリングと呼ぶのですが、一度リモデリングを起こしてしまった心臓を元に戻すことは難しくなります。
しかし、βブロッカーは一度リモデリングを起こした心臓の形を元に戻す効果が示されている点が評価されているのです。
このように心不全に対して有用性が評価されているβブロッカーですが、以前は心拍数を減らすことからβブロッカーを心不全で使うなんてとんでもないという考え方が主流だったそうです。
10年経てば医療の常識が変わっているということは良くある話なので、日々勉強していないような医師の診察にはくれぐれも注意しましょう。