医薬品販売の商習慣

今回は医薬品の独特といえる販売方法について取り上げてみたいと思います。

一部例外はありますが、通常の取引では医薬品は医薬品卸を通して医療機関に納入されます。

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製薬メーカーが医療機関に直販するわけではないというのが日本独特と言われており、欧米ではメーカーからの直販が主流だそうです。

 

昔は医薬品卸は特定の製薬メーカーの商品しか扱わない場合が多く、その分卸会社も数多くありましたが、現在は合併が進んで集約化されており多くの製薬メーカーの商品をたくさん揃えている卸がほとんどです。

製薬会社から見ても最大手の武田薬品のように特定の卸に対してしか商品を供給しないというところは少数派で、どの卸とも付き合う製薬メーカーの方が多くなっています。

 

ですから、製薬会社の営業職であるMRは、医療機関に訪問するわけですが、商品自体を持っていくわけではありません。

情報を提供することで、自社医薬品を処方してもらうという目的で訪問するのです。

もちろん医薬品卸の営業担当者(MSと言います)もいて、医療機関に訪問するわけですが、商品の納入とともに医薬品情報を提供しますが、いかんせん扱っている商品が多すぎるので、詳細な情報提供はそれぞれのMRが行うことが一般的です。

 

最後に医療機関への納入価格は、卸と医療機関による交渉によって決定されます。

つまり、MRは営業とは言っても価格交渉は行えないということになります。

価格交渉は他の商売同様シビアな仕事なので、その分楽をしているともいえるわけですが、卸からの納入価格が折り合わずに自社品が納入されないということは当然起こりえます。

MRにとって自社品を納入してもらえるかは死活問題なので、しっかり交渉してもらえるようMSにも気を使わないといけません。

 

ただし、最近は調剤薬局が主流となっていることもあり医薬品の処方元である医療機関(医師)に対して力を持つMSが少なくなっているため、MRが卸に気を使うことは以前ほどはないかなあというのが現場の実感です。