財前先生と里見先生
本日が今年最後の更新となります。
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来年もどうぞよろしくお願いいたします。
最後の話題はドラマ「白い巨塔」の考えさせられる1シーンについて書いてみたいと思います。
白い巨塔は小説やテレビドラマでご存知の方も多いでしょう。
主人公の財前先生と里見先生は同期だが、考え方やタイプが異なります。
財前先生は腕は良い外科医だが野心家で患者さんよりも自分の出世を優先する、里見先生は面倒見の良い内科医であくまでも患者さん中心の医療を常に考えている、という設定です(そんなに単純じゃない面もありますが・・・)。
そんな財前先生と里見先生が議論し合った第1話のシーンを振り返ってみます。
里見先生が受け持っているがん患者に外科医である財前先生が告知をします。
里見先生は患者にはまだがんであることを告知していないし、手術にも恐怖心をいだいているので、慎重に告知をしてほしいと財前先生に依頼。
しかし、財前先生は患者にあっさりと「がんですね、がんですから手術です」と伝えてしまいます。そして、「まだ早期です。自分が責任を持って手術しますから絶対大丈夫です。」と伝え、結果的には患者を納得させます。
これに里見先生が激怒して、言い合いとなるのが以下のシーンです。
里見先生:おい財前、一体どういうつもりだ!前もって告知は慎重にやってくれと言っ
たはずじゃないか!
財前先生:慎重に考えて告知をしたつもりだが。
里見先生:どこが慎重なんだ!
財前先生:里見、がんはがんだ。治癒しうる。告知を渋る時代じゃないよ。
里見先生:それは外科医の傲慢だ。人間は悪いところを取り去れば元気になるわけでは
ないだろう。患者の痛みや不安にアプローチしなければ真の治療とは言えな
いんじゃないか。
それに…、なぜオペをすれば大丈夫と断言した?転移がわからない段階で無
責任じゃないか!
財前先生:転移の可能性は極めて低い。そもそも直せないかもしれないという患者に自
分の命を預ける患者がいるのか?現に彼女は僕の言葉によってがんを受け入
れた。手術を受ける勇気を持てたじゃないか。インフォームドコンセントな
どといって患者に媚を売るより絶対に大丈夫という一言の方が患者は安心す
るものだ。
里見先生:医者は神様じゃない。患者と同じ人間だ。
一般的には里見先生に同調される意見が多いでしょう。
しかし、財前先生のように絶対大丈夫と言い切る先生を求める患者が多いのも事実です。現場では、そんな先生の方が患者を集めているような気がします。
いろんなシーンで考えさせられる名ドラマですね。