同じHbA1cでも・・
糖尿病の代表的な検査値であるHbA1cについて考えてみたいと思います。
HbA1c=ヘモグロビンエーワンシーと読みます。
正常値は4.6~6.2%で、糖尿病治療中の方はだいたい7.0%以下を目指すことになっています。
ヘモグロビンとは赤血球中にある酸素を運搬するタンパク質のこと。
一部のヘモグロビンは血液中のブドウ糖と結合します。(タンパク糖化と言います。)
HbA1cとは、「全ヘモグロビン」のうちこの「タンパク糖化したヘモグロビン」の割合のことで、単位は%で表します。
当然、血液中のブドウ糖が多いつまり血糖値が高ければ「タンパク糖化したヘモグロビン」の割合も高くなるというわけです。
ただ注意していただきたいのは赤血球の平均寿命が約120日、半減期が約30日であることから、HbA1cは過去1~2か月の平均血糖値を表しているにすぎないということです。
ここにHbA1cの限界があります。
以下の症例1と症例2を見比べて下さい。
症例1、症例2ともにHbA1cは同じ値となっています。
ですが、2つの症例は同じ糖尿病の状態とは言えず、症例2の方が望ましいとされます。
血糖の変動幅特に食後の血糖値の上がり方がなだらかだからです。
このようにHbA1cを測定するだけでなく、食後血糖値も測定しないと本当に糖尿病の状態を把握したとは言えないのです。