医療・疾患

既存の睡眠薬について

frontia.hatenablog.com 先週の更新で新しい睡眠薬について取り上げました。 今回は今までの睡眠薬はどんな薬なのかについて書いてみます。 睡眠薬を服用されている多くの方が今でもこの系統のお薬にお世話になっていると思れれます。 ベンゾジアゼピン系も…

新しい睡眠薬

ドラマなどで睡眠薬を大量に服薬して自殺するなどというシーンはよく見かけるかと思います。 しかし、現在の睡眠薬は安全になっており大量に飲んだからといって死亡することはほぼありません。 そして、さらに安全性が高い薬として約3年前にベルソムラという…

薄毛治療最前線

本日は現在の薄毛治療について取り上げます。 だいぶ世間でも浸透してきておりますが、医療機関によって処方される飲み薬によって薄毛治療ができます。 しかし、効果があるとされるのはAGAと呼ばれる「男性型脱毛症」だけです。 つまり女性の薄毛には効果が…

舌下免疫療法

現在、花粉症の予防治療があることをご存知でしょうか。 2014年よりスギ花粉症を対象として、舌下免疫療法が保険適応となっております。 スギ花粉のエキスを毎日舌下に垂らすことにより、アレルギーを起こすスギ花粉に少しずつ体を慣らして、スギ花粉による…

今年の花粉飛散予測は?

今年も花粉症の季節がやって参りました。 より敏感な人は2月ごろから症状が出始めている人もおられるようです。 花粉症の症状は、花粉の飛散量の多さに比例します。 夏にスギやヒノキの生育が良いと花粉も多く飛散してしまうので、花粉症の人にとっては辛い…

財前先生と里見先生

本日が今年最後の更新となります。 今年5月から始めた当ブログですが、85人もの読者登録をいただきました。 来年もどうぞよろしくお願いいたします。 最後の話題はドラマ「白い巨塔」の考えさせられる1シーンについて書いてみたいと思います。 白い巨塔は小…

糖尿病・注射薬の現状

前回の更新で、注射薬であるGLP-1受容体作動薬について取り上げました。 今回は、そのGLP-1受容体作動薬の一つであるトルリシティについて注射薬の進歩の観点から書いてみたいと思います。 トルリシティは、昨年の9月ごろに発売されたばかりの新しい薬です。…

GLP-1受容体作動薬・注射

糖尿病治療薬で注射といえば、インスリン注射のイメージがありますが、 実はもう一つ注射薬が存在します。 それが、GLP-1受容体作動薬と呼ばれるものです。 GLP-1とはインクレチンというホルモンのひとつ。 以前に取り上げたDPP-4阻害薬でも、インクレチンは…

C型肝炎は飲み薬で治る時代

C型肝炎治療が劇的によくなっていることをご存知でしょうか。 そもそもC型肝炎とは、HCVウイルスに感染することで起こる病気です。 HCVウイルスは血液感染によって感染すると言われておりますので、握手や入浴などの日常生活によって感染することはありませ…

インフルエンザワクチン

先週号の週刊文春にインフルエンザワクチンのことが特集されておりました。 ch.nicovideo.jp 見出しでは「インフルエンザワクチンが71人に1人しか予防できない」と煽っていますが、記事の中身を読むとだいぶ抑制的で、打つべきだという医師と打たなくてもよ…

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤について今回は取り上げます。 下肢静脈瘤では、以下のように脚の血管が浮き出ているような症状が出ます。 立ち仕事をしている女性に多いと言われていますが、良性疾患なのですぐに危険がおよぶわけではありません。 そもそもの話からですが、血管…

高安病

日本人の名前がついている疾患は珍しいのですが、その1つが高安病です。 英語表記でも、「Takayasu arteritis」となっています。 現在の金沢大学医学部の眼科教授であった高安先生により、脈が触れず虚血性網膜症をきたす疾患として、報告されたため、この名…

抗血小板薬と抗凝固薬

今回は、抗血小板薬と抗凝固薬について取り上げます。 どちらも、血液をサラサラにする薬ですが、作用するポイントが違います。 血液が固まる過程は以下の2つがあると言われています。 ①血小板血栓が作られる ②フィブリン血栓が作られる ①血小板血栓に対し…

水しか出さない利尿薬・サムスカ

今回は、利尿薬・サムスカについて取り上げます。 この利尿薬の画期的な点は水しか排泄しない点です。 利尿薬は昔からある薬で、心不全、肝硬変などで体内に水が溜まってしまい心臓や肝臓の働きが悪くなっているときに使い、余分な水分を排泄し負荷を軽減さ…

PCI経皮的冠動脈形成術

循環器医が行う一般的な治療法であるPCIについて紹介します。 PCIとは心臓カテーテル治療のことで、経皮的冠動脈形成術の略語です。 それぞれの用語を解説すると、 経皮的=皮膚を通して治療を行う 冠動脈=心臓に酸素を送る動脈血管 という意味になります。…

心不全治療薬・βブロッカー

今回は心不全治療薬であるβブロッカーについて取り上げます。 製品名でいうとアーチストやテノーミンが主力で使われております。 βブロッカーは、アドレナリン受容体の一つであるβ受容体に作用します。 アドレナリンやノルアドレナリン等(総称してカテコー…

心臓と腎臓のかかわり

今日は心臓と腎臓は位置こそ離れていますが、密接に関連しているという話をいたします。 心不全となり心臓の機能が低下すると、全身の血液のめぐりが悪くなりますので、代償機能として血圧をあげて循環血液量を増やそうとします。 その循環血液量の調節を行…

左心不全と右心不全

心不全と聞くと字面から心臓が動かなくなる=死亡とイメージしている方もいらっしゃるかもしれません。 医学用語ではそうではなくて、「心臓のポンプ機能障害により全身の臓器に必要な血液量(酸素)を供給できない状態」のことを言います。 心臓の収縮機能…

血糖値スパイク②

前回に引き続きNHKスペシャルで放送されていた血糖値スパイクについて取り上げます。 「血糖値スパイク」とは空腹時血糖値やHbA1c値が正常であっても、食後の血糖値が異常に高い状態のことです。 今回は、放送でも紹介されていた血糖値スパイクの対処方法に…

血糖値スパイク①

先日のNHKスペシャルで「血糖値スパイク」のことが紹介されていました。 健診で測定するような空腹時血糖値やHbA1c値が正常であっても、食後の血糖値が異常に高い人が潜んでいること、このような食後血糖値が高い状態が続くことで糖尿病に進展するだけでなく…

そもそも尿酸とは

最近は尿酸値を取り上げた更新をしてきましたが、今回が最後。 そもそも尿酸とは何かについて書きたいと思います。 「尿酸」の材料となるのが「プリン体」です。 尿酸はプリン体を代謝した結果生じる老廃物のことです。 この尿酸が体内に蓄積されると、痛風…

尿酸値低下薬

本日も尿酸値について取り上げます。 今回のテーマは、尿酸値低下薬についてです。 前々回の更新でも触れましたが、 男性で7.0mg/dl以上、女性で6.0mg/dl以上で高尿酸血症と診断されます。 高尿酸血症になると、痛風発作の確率が高くなるだけでなく、CKD(慢…

痛風発作予防薬・コルヒチン

前回に引き続き尿酸値の話題です。 尿酸値が高い状態が続くと痛風発作が起きてしまうことは前回述べたとおり。 尿酸値を下げる薬はいくつかありますが、 痛風が起きてしまった時には尿酸値を下げる薬を服用すると痛風が余計に悪化してしまいますので、注意が…

尿酸値について

今日は健康診断の診断値でもおなじみの「尿酸値」について取り上げてみたいと思います。 「尿酸値高い=痛風」というイメージがあるのではないでしょうか? 痛風とは文字通り風が吹いても痛いと言われ、経験したことある人は悶絶するくらい痛いとおっしゃい…

ED治療薬の現状

今回の更新では、ED治療薬についてまとめてみます。 ED治療薬は血管を拡張することで、勃起状態を保ちやすくする薬です。 尚、ED治療は保険対象ではないので治療薬も保険は効かず自由診療となり全額自己負担となります。 ED治療薬は以下の3種類がありますの…

バカにできないプラセボ効果

「いわしの頭も信心から」ということわざがあります。 たかがイワシの頭でも一旦信じてしまえば有難く思えてくることのたとえですが、 薬の世界でも同様のことが起こります。 「プラセボ効果」とは、偽物の薬であっても患者さんが本物と思って飲むことで、実…

秋の花粉症

しばらく更新がご無沙汰になっておりました。 気分新たに随時更新を行っていきたいと思います。 「花粉症」と言えば春の疾患と思われがちかもしれませんが、実は秋にも花粉症が存在します。 上図のように、春の花粉症の原因となるスギやヒノキは一般的ですが…

ロングテール

ロングテールとは、「売上数の少ない商品でも種類が数多くそろえれば、大きな売上げにつながる」という意味のマーケティング用語です。 グラフで見ていただくとわかりやすいかと思います。 縦軸が販売数量、横軸が品目とご理解ください。 グラフで見ると長い…

乳幼児の予防接種スケジュールが過密

当ブログでも紹介させていただいているように、 乳幼児を対象として様々なワクチンが開発されております。 ワクチンにはよって病気を防げるようになっていることは非常に喜ばしいことなのですが、その一方でワクチン接種のスケジュールが大変過密になってお…

生ワクチンと不活化ワクチン

私の子供のころ、インフルエンザワクチン接種後に小学校の先生から「今日はお風呂に入ってはいけません。体に弱いウイルスを入れているので、インフルエンザになってしまいますよ。」と指導されたものです。 この先生もおそらく勘違いしていたであろう、生ワ…