血清クレアチニン値「血清Cr」とは
診察や健康診断を受けると検査値の表をもらいます。
ほとんどの検査項目がアルファベットで表記されているので、説明を受けないと何がなんだかわからない方が多いのではないでしょうか。
MRでもよくわかっていない方が大勢いますので。
今回は、そんな検査項目の1つである「血清Cr」(血清クレアチニン値と言います)について解説させていただきます。
「血清Cr」とは腎機能を診る指標であり、一般的には男性で1.2㎎/dl以上、女性で0.9㎎/dl以上で腎機能の異常があると診断されます。
ではクレアチニンとはなんでしょう?
「クレアチニン」とは、クレアチンという主に筋肉に存在しているタンパクの代謝産物であり、老廃物として排泄されます。
排泄されるのは腎臓からですので、血清のクレアチニンを測定してクレアチニンの値が高ければ腎臓からの排泄が進んでいない、つまり腎臓の機能が低下していると診断されるわけです。
ただし、筋肉量が少ない人は元々のクレアチン(筋肉に存在している)の量が少ないので、不当に低い値が出てしまうことに注意しないといけません。
ですので、筋肉量が少ない女性の方が基準値が低くなっているのです。
また、似た用語として「クレアチニン・クリアランス」(Ccr)というものもあります。
これは血清のクレアチニン値と尿中のクレアチニン値を比較して測定されます。
血清のクレアチニン値だけでは筋肉量に左右されてしまいますが、
血清と尿中の比較をすれば、どれくらいの割合のクレアチニン値を排泄できているかがはっきりわかるのです。
しかし、尿中のクリアランスを測定するには少なくとも2時間、できれば24時間の蓄尿が必要となるので、手軽に行える検査とは言えないのが欠点です。
Ccrは60以下で中等度の腎機能低下、30以下で重度の腎機能低下となっています。
そこで、血清のクレアチニン値を性別、年齢で補正することで、Ccrの推定値を出す方法もあります。
それが、「eGFR」(推算糸球体濾過値)です。
大勢の方の血清クレアチニン値とクレアチニン・クリアランスの関連を調べて、
計算式が作られているので、信頼性は高いと言えます。
計算サイトもありますので、ご参考に下さい。
http://keisan.casio.jp/has10/SpecExec.cgi?id=system/2006/1210728958
「eGFR」が測定できるようになり、腎臓の機能の診断は格段にしやすくなりました。
ぜひ参考にしてみてください。
尚、明日から夏休みに入りますので、ブログの更新も1週間ほどお休みいたします。
では、また来週。