糖尿病治療を変えた薬・DPP-4阻害薬②

前回に引き続きDPP-4阻害薬について書きます。

DPP-4阻害薬が支持されている理由は、ある程度効果が期待できるのに副作用が少ないという特徴があるためです。

今回は既存の糖尿病治療薬であるSU薬(アマリールなど)との比較で考えてみたいと思います。

SU薬もDPP-4阻害薬もインスリンという血糖値を下げるホルモンの分泌を促すタイプと定義されています。

 

まずはSU薬のCGM(持続血糖測定・以前の更新をご参照下さい)データを見てもらいます。

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オレンジのグラフがベースライン、緑と水色のグラフが代表的なSU薬であるアマリール6㎎を投与したときの血糖推移を表しています。

ご覧のように血糖値を平行に移動させているのがわかるかと思います。

SU薬は1日中インスリンの分泌を促してしまいます。

体調が悪くて食事が取れないなどのときでも構わずインスリンを分泌しますので、低血糖が起こる危険が常にあります。

低血糖昏睡にいたると命にも関わるので、特に高齢者にはかなり危険な薬となります。

 

それに対して、DPP-4阻害薬のCGMデータを見てもらいます。

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グレーがベースライン、青が代表的なDPP-4阻害薬であるジャヌビアを投与したときの血糖推移を表しています。

いかがでしょうか?

SU薬との違いがわかっていただけるかと思います。

DPP-4阻害薬では、食後の血糖値はしっかり下げるのにも関わらず、空腹時特に早朝の血糖値は下げすぎておりません。

結果として、血糖の変動幅を小さくできているのです。

ですから、低血糖の頻度が非常に少なく、医師にとっても使いやすい薬なのです。

 

最近の治療では、HbA1cや空腹時血糖値を下げるだけでなく、変動幅を小さくすることも重視されています。

DPP-4阻害薬はそれが可能になる薬なのです。