ED治療薬の現状

今回の更新では、ED治療薬についてまとめてみます。

ED治療薬は血管を拡張することで、勃起状態を保ちやすくする薬です。

尚、ED治療は保険対象ではないので治療薬も保険は効かず自由診療となり全額自己負担となります。

ED治療薬は以下の3種類がありますので、それぞれまとめてみます。

 

①バイアグラ

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ED治療薬の代表的な薬です。

名前はよく知られていることでしょう。

作用時間は、飲んでから5時間程度と言われます。

自由診療ですので、実際に患者が負担する金額は医療機関によってまちまちですが、

25㎎で約1500円、50㎎で1800円~2000円くらいが相場のようです。

尚、バイアグラにはジェネリック品もありますので、ジェネリック品で良ければもっと安くなります。

自由診療にとって、薬価が安くなるジェネリック品は魅力的です。

 

②レビトラ

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バイアグラの次に発売になった薬です。

10㎎と20㎎の2規格が使われています。

価格は10㎎で1500円、20㎎で2000円くらいが相場となります。

作用時間ですが、10㎎で5時間以上、20㎎で10時間くらい持続します。

即効性が売りですが、バイアグラも即効性はあるので、差別化ポイントは少ない気がします。

 

③シアリス

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3種類の中では最も最近発売になっている薬です。

10㎎と20㎎の2規格。

価格は10㎎が1800円、20㎎が2000円が相場となっております。

作用時間の長さが特徴で、

10㎎で約20時間、20㎎で約30時間持続すると言われます。

その代り即効性はないので、性行為の3時間前には服用しておかないと効果が期待できません。

シアリスの面白いところは、海外で血管保護効果が報告されており、アンチエイジング効果も期待できるのではと言われているところです。

 

以上になります。

これらのED治療薬は、個人輸入などが多く出回っていますが、偽物が多いとも言われます。

医療機関で受診すれば間違いなく本物ですし、いざというときの副作用にも対応できますので、ぜひ医療機関でもらうことをお勧めします。

診療科は泌尿器科でなくても、内科など診療科問わず大丈夫です。

 

ちなみにほとんどのクリニックの先生は、この種の相談が患者さんからあった場合、薬を診察室でこっそり渡してくれるような対応をしており、プライバシーには気を使ってくれますので、どうぞご安心を。

 

バカにできないプラセボ効果

「いわしの頭も信心から」ということわざがあります。

たかがイワシの頭でも一旦信じてしまえば有難く思えてくることのたとえですが、

薬の世界でも同様のことが起こります。

 

「プラセボ効果」とは、偽物の薬であっても患者さんが本物と思って飲むことで、実際に効果まで現れることを言います。

薬の効果を判定する試験では、通常「効果を判定したい薬」に対してプラセボと呼ばれる「偽薬」を比較対象として行います。

「偽薬」は文字通り偽物で、見た目は実薬と同様なのですが中身はうどん粉みたいなものです。

薬を飲む患者さんはもちろん処方する医師もどちらが本物かはわからないように試験を行って、効果を比較することで実薬が有効かどうかを判定するのです。

 

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しかし、面白いものでこのうどん粉みたいなプラセボがそれなりに効果が出てしまうことが患者さんによって起こります。

特にアレルギー性鼻炎や睡眠薬など患者さんの症状の訴えによって効果が判定される薬に起こりがちで、血圧やコレステロールなど数値で効果を判定する薬でも効果が認められることがあります。

まさに患者さんの思い込みによってのみ、効果が発揮されることがあるのです。

 

例として、不眠症の薬のデータを以下に示してみます。

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ベルソムラという不眠症薬の効果を判定するための試験で、入眠までの時間どれだけ短縮できたかを判定しています。

グレイがプラセボ、ピンクが不眠症の実薬の効果を表しています。

いかがでしょうか?

もちろん実薬の方が効果は出ていますが、プラセボでもけっこう効果が出ていることがわかるのではないでしょうか。

不眠症薬を飲んだという思い込みだけで、不眠症が改善する。

まさにプラセボ効果恐るべしです。

秋の花粉症

しばらく更新がご無沙汰になっておりました。

気分新たに随時更新を行っていきたいと思います。

 

「花粉症」と言えば春の疾患と思われがちかもしれませんが、実は秋にも花粉症が存在します。

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上図のように、春の花粉症の原因となるスギやヒノキは一般的ですが、

初夏にはイネ科、秋には主にブタクサの花粉が原因で花粉症となってしまう方もいらっしゃるのです。

やはり春に症状が出る方が圧倒的に多いのですが、次に秋に症状が出る方が多いようです。

くしゃみや鼻水は風邪の症状と似ているので、秋にも花粉症が存在することを知らないと効きもしない風邪薬を飲み続けるということになってしまいます。

 

どの花粉によって花粉症のようなアレルギー症状がおこってしまうかは、

病院での検査でわかるようになっております。

スギやヒノキ、ブタクサやイネはもちろんハウスダストやイヌ・ネコへのアレルギーもわかる検査になっています。

ちなみにこのアレルギー検査は保険適応になっており、料金は3割負担の方で5000円程度です。

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アレルギー疾患は稀にですが、死に至ることもあり症状の苦しさを考えると軽視はできない疾患です。

専門病院やアレルギー専門クリニックに限らず、一般的なクリニックでも行っている検査ですので、特にアレルギー体質の方であれば検査を受けてみることをお勧いたします。

 

ロングテール

ロングテールとは、「売上数の少ない商品でも種類が数多くそろえれば、大きな売上げにつながる」という意味のマーケティング用語です。

 

グラフで見ていただくとわかりやすいかと思います。

縦軸が販売数量、横軸が品目とご理解ください。

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グラフで見ると長いしっぽのように見えることからロングテールという名前がついたそうです。

 

インターネットショッピングなどでは、ロングテール理論で売上を伸ばしている企業が多いようです。

しかし、製薬企業ではロングテールとは正反対の売上構成となっている企業が多いのが現状です。

例を挙げれば、以前に更新した「湿布薬は70枚まで」http://frontia.hatenablog.com/entry/2016/06/22/165943

でも取り上げた久光製薬。

久光製薬は、売上の半分以上はモーラステープという湿布薬です。

万が一ですが、モーラステープが副作用などで販売中止となったら潰れてしまうでしょう。

久光製薬ほどではないにしても、どの製薬会社もいくつかのヒット商品で売上を大きく稼いで、企業を存続させているのが一般的です。

ですので患者さんの多い感染症、高血圧、糖尿病、認知症などの薬をこぞって開発し、宣伝合戦を繰り広げているのです。

 

しかし、製薬企業の中にもロングテールとはいかないまでも、いくつかの主要品目を持ちながら、売上規模を保っている企業も出てきました。

それが、ノバルティスファーマです。

ノバルティスファーマの売上高は約2600億円、売上構成品目は以下のようになっています。

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上位10品目がいずれも約100億円以上稼いでおり、こういった構成比は製薬企業では珍しいと言えます。

 

製薬企業は最近、後発品の影響を受けやすくなっているので、1品目に偏った売上構成だとリスクが高なります。

今後はますます、患者さんの多い領域でしのぎを削るだけでなく、患者さんが比較的少ない領域でもその中でも高シェアを取る製品を複数扱うような流れになっていくかもしれません。

そういった領域にスポットが当たっていくことは患者さんの利益にもつながることだと思います。

重複・相互作用防止加算

このブログでも再三書かせていただいておりますが、国は医療費削減に血眼になっております。

その医療費削減のため、「残薬」つまり患者さんの自宅にある余っている薬を減らすことにも力を入れています。

 

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血圧やコレステロールなど定期的に薬を飲んでいる患者さんはだいたい1か月に1回病院に行って、薬を処方してもらいます。

処方する側の医師も患者さんが毎日服用していることを前提に4週間分薬を処方することが多いのですが、実際は患者さんは結構飲み忘れることも多いと聞きます。

特に1日3回の薬などはどうしても飲み忘れがちで、自宅に大量に薬が余っている状況になっており、これが医療費の無駄となっているわけです。

 

残薬を減らすための調剤薬局の取組を評価しようと、「重複・相互作用防止加算」が今年の診療報酬改定により20点⇒30点に上がっております。

 

調剤薬局が算定できる点数で、算定のための手順は以下のようになります。

①医師からの処方箋を持ってきた患者さんに、出された薬の残薬があるかを確認

②残薬があると患者さんが答えれば、その分の処方日数を減らしていいかどうか処方し  た医師に確認

③日数を調整して、薬を処方できたら算定(30点)

 

患者さんの薬を一元的に管理して無駄な薬の処方を減らすことは、調剤薬局の本来の役割の一つです。

当たり前のことに点数を付けなくても良いと思うわけですが、

インセンティブを与えることで残薬を減らす取組みのきっかけとなるのは良いことでしょう。

MRの休暇事情

MRは医師相手の営業ということでストレスのかかる激務だと思われがちなようです。

確かに癖のある医師もいますし、大きな病院担当だと夜遅くなることも結構あります。

しかし、長期休暇となるとかなり恵まれています。

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今年は8月11日が山の日でしたが、その11日~翌週の21日まで休みを取って11日連休としたMRも私の周りにも少なくない人数いました。

そんな長期間休みを取れる仕事ってあんまりないのではないでしょうか。

ちなみに私も11日~17日まで7連休を取得しました。

他の長期休暇である、GWと正月も同様に1週間くらい休みが問題なく取れます。

MRは給料面でも恵まれているので、海外旅行などを楽しむ人も結構いるようです。

 

一方、取引先である病院や診療所はこの期間でもせいぜい3日~5日程度の連休です。

ですので、長期休暇の話題となると肩身が狭くなってしまうのも事実。

海外旅行に行ったとかは本来話しずらいのですが、

あるMRが薬のプレゼンの際、夏休みにエジプト旅行に行った話を嬉しそうにして、医師やスタッフから不興を買っていました。

休むことはもちろん自由なのですが、相手の立場を考えて、発言には注意したいものです。

 

乳幼児の予防接種スケジュールが過密

当ブログでも紹介させていただいているように、

乳幼児を対象として様々なワクチンが開発されております。

ワクチンにはよって病気を防げるようになっていることは非常に喜ばしいことなのですが、その一方でワクチン接種のスケジュールが大変過密になっております。

 

まずは、以下の表を見ていただきましょう。

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0歳~2歳の間が特に過密になっているのがお分かりいただけるかと思います。

定期接種だけでも、

・ヒブ(4回接種)

・小児用肺炎球菌(4回)

・BCG(1回)

・4種混合(4回)

・3種混合(4回)

・ポリオ(4回)

・麻疹・風疹(2回)

・水ぼうそう(2回)

とこれだけあります。

これに加え、任意接種のロタ(2~3回)、おたふくかぜ(1回)も受けておいた方が有用性が高いと言えます。

 

ワクチン接種をする際は、多くの小児科クリニックでは予約制になっていますが、

当日の体調次第ではワクチン接種ができないこともあります。

保護者の仕事の関係で再度来院することが難しい場合もあるでしょう。

そして、多くの地域で小児科クリニックは、(特に冬場は)患者さんでごった返しており、予約を取るだけで大変です。

 

そんな状況に対処するためにワクチンの同時接種が学会から勧められています。

原則は、不活化ワクチンで6日以上、生ワクチンで28日以上接種間隔を空けないといけないのですが、そんなことをやっていては、必要なワクチンが対象期間で接種できないからです。

 

それにしても、冬場の小児科クリニックの混雑は半端じゃありません。

混雑が解消されて、予約が取りやすくなれば保護者の負担も軽減されると思うのですが・・・。